福岡大学 研究推進部 知的財産センター

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特許の取得について

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「発明」となる4つの要件

代表的な知的財産である「発明」は以下の要件を満す必要があります。
(特許法第2条第1項)

  1. 自然法則を利用していること
  2. 技術的思想であること
  3. 創作であること
  4. 高度であること

1.「自然法則を利用していること」とは

自然法則とは、自然界において経験的に見出される物理的・化学的・生物的な法則をいう。
経済法則、会計上のルール、数学のアルゴリズム、ゲーム等の人為的な取り決めや人間の精神活動などは自然法則ではないので特許法上の発明に該当しないとされている。
アルゴリズムは保護されないが作成されたプログラムによって実現される方法、プログラムを組み込んだコンピュータによって実現される装置、プログラムを記録した記録媒体は発明に該当する。

2.「技術的思想であること」とは

「技術」とは一定の目的を達成するための具体的手段。他人に伝達できる客観性が必要(技能とは異なる)。 特許法で保護される発明とは、技術的な思想(アイデア)であって、それが具体化した発明品ではない。保護される技術的思想は、特許発明の技術的範囲を解釈することによって認定される。「技術的」であるというためには反復実施可能性がなければならない。反復実施可能性は100%でなくても、当業者による再現が可能であれば足りる。技術内容に具体性・客観性がないため反復実施可能性に欠けるような場合には、未完成発明であって、発明には該当しないというのが判例である。

3.「創作であること」とは

「創作」とは新しいことを創り出すことで「発見」とは異なる。 化学物質については、有用性を見いだすことによって化学物質自体の特許を取得できる(絶対的物質クレーム)。また既存の化学物質の新たな有用性を見いだすことによって、用途発明として特許を取得することができる。

4.「高度であること」とは

実用新案には、この限定はない。特許と実用新案を区別するための文言と理解してよい。高度かどうかは、主観的判断で良く、特許要件である進歩性を備えていれば足りるとされる。

参考:[特許庁]産業上利用することができる発明( PDF)

発明者の条件

「発明者」とは以下の条件を満たした者を指します。単なる補助者、助言者、資金の提供者あるいは単に命令を下した者は、発明者とはなりません。

  1. 具体性のある着想を提供した者
  2. 課題解決のために具体的な解決手段を提案した者
  3. 具体性のある解決手段を提供して発明を完成に導いた者

また、思想の創作自体に関係しない者、たとえば、単なる管理者・補助者又は後援者等は「共同発明者」ではありません。

例 1
部下の研究者に対して一般的管理をした者、たとえば、具体的着想を示さず単に通常のテーマを与えた者又は発明の過程において単に一般的な助言・指導を与えた者(単なる管理者)
例 2
研究者の指示に従い、単にデータをまとめた者又は実験を行った者(単なる補助者)
例 3
発明者に資金を提供したり、設備利用の便宜を与えることにより、発明の完成を援助した者又は委託した者(単なる後援者・委託者)

特許を取得できる「発明」

発明が主に下記の要件を充たせば、特許性があるとして特許を取得できます。

  1. 産業上利用することができる発明であること(特許法29条第1項柱書)

    産業(製造業以外の鉱業、農業、漁業、運輸業、通信業なども含む)で利用可能な「発明」であること。
    人間を手術、治療又は診断する方法、個人的や、学術的、実験的にのみ利用される発明など業として利用できない発明や、実際上、明らかに実施できない発明などは「産業上利用することができる発明」に該当しない。

  2. 新規性があること

    公知のものや刊行物等に記載されているものは新規性がないと判断される。

  3. 進歩性があること

    発明の属する通常の知識を有する者(その分野の平均的技術者:当業者)が既存の技術から容易に発明できると思われるものは進歩性がないと判断される。例えば、単なる材料の変更、単なる用途の変更、単なる寄せ集めなどは進歩性がないとされる。

発明から出願までの流れ

  1. 発明者

    先行技術調査

    発明が生まれた段階でJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)を利用し先行技術調査を行う

  2. 発明者

    発明相談

    発明届に仮記入し(所属長印不要)知財センターに相談する

  3. 知財センター

    発明のヒアリング

    知財専門家が発明者に対し発明内容等を確認

  4. 発明者

    発明届の作成・提出

    発明のヒアリングの内容をふまえて、発明届を正式に仕上げ、知財センターに提出する

  5. 知財センター

    発明審査

    発明審査委員会で大学が承継するか否か等審査

  6. 発明者

    譲渡証書の提出

    大学承継の場合は譲渡証書を知財センターに提出する

    譲渡証書(様式第2号): Word
    知的財産譲渡等に関する承諾書(様式第2号の2): Word
    ※発明者が学生の場合には知的財産譲渡等に関する承諾書(様式第2号の2)を発明届と同時に提出してください。

  7. 発明者

    明細書案の作成

  8. 知財センター

    明細書の完成

    知財センターから代理人等に明細書作成を依頼

  9. 知財センター

    出願手続き

    手続き書面を準備し特許庁に出願

出願から登録までの流れ

  1. 特許庁

    出願公開

    出願から1年6ヶ月後、発明が公開公報で公開される

  2. 知財センター

    審査請求

    出願後3年以内に発明の審査を特許庁に請求

  3. 特許庁

    出願審査

    特許庁で書式や特許性の審査が行われる

  4. 特許庁

    拒絶理由通知・査定

    発明が特許すべきものでないときは拒絶理由通知が届く

  5. 発明者 特許庁

    補正・意見(必要時)

    必要に応じて意見書・補正書等を作成する。クリアできない場合は拒絶査定となり、特許されない。

  6. 特許庁

    特許査定

    発明が特許すべきものであるときは特許査定通知が届く

  7. 特許庁

    特許登録

    登録となり特許番号が付与され、特許公報が発行される