福岡大学 研究推進部 産学官連携センター

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お知らせ

干潟再生でアサリを復活! ~工学部社会デザイン工学科 渡辺亮一 教授
(産学官連携研究機関 水循環・生態系再生研究所 所長)~
JST発刊「産学官連携ジャーナル」11月号掲載

 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)が産学官連携活動推進のために発行している「産学官連携ジャーナル」に、工学部社会デザイン工学科 渡辺亮一教授の記事が掲載されました。

 九州北西部に位置する有明海では、アサリをはじめとする二枚貝など多くの生物が近年激減しています。その要因として生息環境の悪化が考えられます。砂干潟にヘドロが堆積しアサリなどが生息できない状態になっており、早急な改善が望まれています。
 渡辺教授が所長を務める水循環・生態系再生研究所では、『堆積ヘドロを分解 → 分解された有機物を二枚貝が摂取 → 成長した二枚貝を自然の恵みとして人間が消費する』 という通常の食物連鎖の再生を目指して、研究をスタートさせました。共同研究を実施しているコヨウ株式会社より提供されたフルボ酸鉄シリカ資材はヘドロ分解に効果があり、研究室内での水槽実験において、分解されたヘドロが植物プランクトンにより摂取され、投入したアサリがそのプランクトンを摂食して成長していることが確認されました。この結果を受けて、平成27年7月より熊本県長洲町沿岸干潟に同資材を設置して二枚貝生息状況のモニタリングを実施しています。
 この実証実験により、アサリの個体数増加と殻長の増大が確認されました。フルボ酸鉄シリカ資材の設置によって実際にヘドロが分解され、干潟の環境がアサリの生息環境に適したものに変化していると考えられます。今後もさらに現地における実証的な研究を積み重ねていく予定です。

 記事で紹介されている熊本県長洲町と本学産学官連携研究機関 水循環・生態系再生研究所は、平成27年8月に連携・協力に関する協定を締結しています。
 記事全文は、下記オンラインジャーナル「産学官連携ジャーナル」11月号でご覧になれます。

「ヘドロ浄化剤フルボ酸鉄シリカで干潟を再生しアサリを復活させる 」
工学部社会デザイン工学科 教授 渡辺 亮一